
新しいMacを買ったとき、あるいはWindowsからMacに乗り換えたとき、「ThunderbirdのメールデータをそのままMacに持っていけるの?」と不安になる方は多いと思います。私自身、プロファイルフォルダの手動コピーを3回失敗した経験があります。名前の不一致でメールが消えたように見えてパニックになった、あの感覚は忘れられません。
試行錯誤の末にたどり着いたのが、Thunderbird公式の「エクスポート/インポート機能」です。プロファイルフォルダの場所を探す必要がなく、ZIPファイル1つでデータをまるごと移せます。この機能はThunderbird 115(コードネーム:Supernova)以降に搭載されたもので、2026年現在のスタンダードな移行方法です。
この記事では、公式の確実な方法を中心に、Mac間移行・Windows→Mac移行の両ケースを網羅して解説します。途中で詰まりがちなポイントも、実体験をもとに丁寧に説明しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
この記事でわかること
- Thunderbirdの公式エクスポート/インポート機能を使った最も確実な移行手順
- Mac間移行(Mac→Mac)の具体的な手順
- Windows→Mac移行で必ず発生する「ファイル名の違い」問題の解決策
- 移行後にパスワードが消える原因と対処法
- 「メールが見えない」「起動しない」などよくある失敗パターンと復旧方法
▼パソコンの買い替え全体の流れを先に確認したい方はこちら:
- Thunderbird Mac移行の前に知っておくべき基本知識
- 方法①:公式エクスポート/インポート機能を使った移行(推奨)
- 方法②:手動プロファイルコピーを使った移行(2GB超・旧バージョン向け)
- 移行後に発生しやすいトラブルと解決策
- 移行後にやっておきたいMac向け最適化設定
- 移行パターン別クイックリファレンス
- よくある質問
- まとめ
Thunderbird Mac移行の前に知っておくべき基本知識
移行の仕組み:プロファイルフォルダとは何か
Thunderbirdのデータは、「プロファイルフォルダ」という1つのフォルダにほぼすべて集約されています。中には次のようなデータが入っています。
- 受信・送信・下書きなどすべてのメールデータ(mbox形式)
- アカウント設定(サーバー情報・ポート番号・メールアドレスなど)
- アドレス帳
- フォルダの振り分けルール(フィルター)
- アドオン(拡張機能)の設定
- カレンダーのデータ
このフォルダをそのまま新しいMacに持ち込めば、設定ゼロでまったく同じ環境が再現できます。それが移行の基本的な考え方です。
2026年現在の移行方法は2種類ある
| 方法 | 難易度 | 確実性 | 推奨ケース |
|---|---|---|---|
| ①公式エクスポート/インポート機能(ZIPファイル) | ★☆☆(簡単) | ◎ | 迷ったらこれ |
| ②手動プロファイルコピー | ★★☆(やや難) | △〜○ | バックアップ目的など |
多くの古い解説サイトでは②の手動コピーしか紹介されていませんが、①の公式機能があれば大半のケースでより安全・確実に移行できます。本記事では①を主軸として解説し、②についても補足します。
移行前に必ず確認しておくこと
作業を始める前に、以下を済ませておいてください。
バージョンの確認
移行元・移行先のThunderbirdバージョンを確認します。公式エクスポート/インポート機能を使うには両方がThunderbird 115以降である必要があります。バージョンは「メニュー(三本線)→ヘルプ→Thunderbirdについて」で確認できます。
ストレージ空き容量の確認
メールデータの容量は人によって大きく異なります。プロファイルフォルダのサイズを確認し、新しいMacに2倍以上の余裕があることを確認してください。なお、公式エクスポート機能には2GBの上限があります。2GBを超える場合は後述の手動コピー法を使います。
プロファイルフォルダのサイズを確認する方法(Mac)
Thunderbirdを起動した状態で「メニュー→ヘルプ→トラブルシューティング情報」を開き、「プロファイルフォルダ」の横にある「Finderに表示」をクリックします。表示されたフォルダを右クリック→「情報を見る」で合計サイズを確認できます。
方法①:公式エクスポート/インポート機能を使った移行(推奨)
移行元のMacまたはWindowsでの作業(エクスポート)
ステップ1:Thunderbirdを完全に終了する
メール受信が途中の場合はデータが破損することがあります。必ず「Thunderbirdを終了」してから作業を始めてください。Macでは⌘+Qで完全終了できます。ただし単にウィンドウを閉じただけでは終了していないので注意してください。
ステップ2:Thunderbirdを再起動してエクスポートを開始する
Thunderbirdを起動し、画面右上の三本線メニューをクリックします。「ツール」→「エクスポート」を選択します。
ステップ3:保存先とファイル名を指定してエクスポートする
保存ダイアログが開くので、USBメモリや外付けSSD、またはクラウドストレージ(iCloud Drive、Googleドライブ等)などの一時保存場所を選択します。ファイル名は日付を含む名前にすると管理しやすいです(例:Thunderbird_backup_20260420.zip)。
「保存」をクリックするとエクスポートが開始されます。メールデータが多い場合は数分〜十数分かかることがあります。エクスポート中はThunderbirdを閉じないでください。
ステップ4:ZIPファイルが作成されたことを確認する
保存先に.zipファイルが作成されているか確認します。サイズがプロファイルフォルダに近い値であれば正常に作成されています。
移行先のMacでの作業(インポート)
ステップ1:新しいMacにThunderbirdをインストールする
公式サイト(thunderbird.net)から最新版をダウンロードしてインストールします。移行元と同じバージョンが望ましいですが、最新版でも基本的に問題ありません。
ステップ2:Thunderbirdを一度起動して、すぐ閉じる
インストール直後は「セットアップ」画面が表示されますが、ここでメールアカウントを設定する必要はありません。画面を閉じるか「キャンセル」して、メインウィンドウが表示されたらそのままThunderbirdを完全終了(⌘+Q)してください。
この手順をふむ理由は、Thunderbirdが初回起動時に空のプロファイルフォルダを自動生成するからです。この空フォルダを後でエクスポートファイルで上書きするため、一度起動させておく必要があります。
ステップ3:ZIPファイルを移行先Macに転送する
エクスポートしたZIPファイルをUSBメモリ、AirDrop、クラウドストレージなどで新しいMacにコピーします。AirDropを使う場合は、ZIPファイルを右クリック→「共有」→「AirDrop」で送れます。
ステップ4:Thunderbirdを起動してインポートを実行する
Thunderbirdを起動します(アカウント設定はしない)。画面右上の三本線メニュー→「ツール」→「インポート」をクリックします。
インポートウィンドウが開いたら、「ファイルからインポートする」を選択し、「続行」をクリックします。
ステップ5:ZIPファイルを選択してインポートを完了する
「プロファイル全体をインポート」を選択し、先ほどのZIPファイルを選択します。インポートが開始され、完了するまで待ちます。完了したらThunderbirdを再起動してください。
ステップ6:動作確認をする
再起動後、以下を確認してください。
- すべてのメールアカウントが表示されているか
- 受信トレイにメールが存在するか
- テストメールの送受信ができるか
- アドレス帳・フィルタールールが引き継がれているか
方法②:手動プロファイルコピーを使った移行(2GB超・旧バージョン向け)
プロファイルが2GBを超える場合、またはThunderbirdが115より古いバージョンの場合は手動コピーを使います。
プロファイルフォルダの場所を確認する
Macの場合(移行元・移行先共通)
Thunderbirdのプロファイルフォルダは標準で以下の場所にあります。
~/Library/Thunderbird/Profiles/
ただしLibraryフォルダはmacOSでは通常非表示です。Finderで表示するには次のいずれかの方法を使います。
方法A(最も簡単):Finderを前面に表示した状態で「移動」メニューをクリックし、そのままOptionキーを押し続けると「ライブラリ」が現れます。クリックしてLibraryフォルダを開き、「Thunderbird」→「Profiles」の順に進みます。
方法B(Thunderbirdから直接開く):Thunderbird起動中に「メニュー→ヘルプ→トラブルシューティング情報」を開き、「プロファイルフォルダ」横の「Finderに表示」をクリックします。これが最も確実です。
Windowsの場合(移行元)
エクスプローラーのアドレスバーに以下を貼り付けてEnterを押します。
%APPDATA%\Thunderbird\Profiles\
プロファイルフォルダのコピー手順(Mac間移行)
- 移行元MacでThunderbirdを完全終了する(⌘+Q)
- プロファイルフォルダを開く(フォルダ名は
xxxxxxxx.default-releaseのような形式) - フォルダをUSBメモリや外付けSSDにコピーする
- 移行先MacにThunderbirdをインストールして一度起動・終了する
- 移行先Macのプロファイルフォルダを開く(
~/Library/Thunderbird/Profiles/) - 移行先の既存フォルダ(空のもの)を別名でリネームしてバックアップする
- コピーしたプロファイルフォルダを
Profilesフォルダ内に貼り付ける ~/Library/Thunderbird/profiles.iniをテキストエディタで開き、Path=の値を新しいフォルダ名に書き換える- Thunderbirdを起動して確認する
Windows→Mac移行での重要な違い:フォルダ名の問題
手動コピー法でWindows→Mac移行をするときに最も多い失敗がフォルダ名の不一致です。
Windowsのプロファイルフォルダ名はxxxxxxxx.defaultという形式ですが、Mac(Thunderbird 78以降)はxxxxxxxx.default-releaseという形式になっています。この末尾の-releaseがないと、profiles.iniが正しく認識しません。
対処法:
移行先Macで空のプロファイルフォルダ名(xxxxxxxx.default-release)をメモしておきます。Windowsからコピーしてきたフォルダ(xxxxxxxx.default)を、メモしたMac側のフォルダ名にリネームします。その後プロファイルフォルダの中身をまるごとコピーして完成です。
または、profiles.iniのPath=をProfiles/コピーしてきたフォルダ名に書き換えてしまう方法でも対応できます。
移行後に発生しやすいトラブルと解決策
パスワードが消えてしまった
移行後に各アカウントでパスワードの再入力を求められることがあります。これはThunderbirdがパスワードを保存する仕組みが、macOSのキーチェーンと連動していないためです。
移行元Macで「Thunderbird→設定→プライバシーとセキュリティ→保存されたパスワード」を開き、一覧を確認・メモしておいてください。移行後は各アカウントで再入力が必要です。なお、GmailなどOAuth認証(Googleアカウントでログイン)を使っているアカウントは、移行後にブラウザ経由で再認証するだけで使えるようになります。
メールが表示されない・フォルダが空に見える
インデックスファイルが古い場合、フォルダが空に見えることがあります。該当フォルダを右クリック→「プロパティ」→「今すぐ修復」でインデックスを再構築してください。完了するまで数分かかる場合があります。
Thunderbirdが起動しない・クラッシュする
プロファイルフォルダが正しく認識されていない可能性があります。以下を確認してください。
profiles.iniのPath=に指定されたフォルダ名が実際のフォルダ名と一致しているか- Thunderbirdを起動したまま移行作業をしていないか(必ず終了してから)
- フォルダのアクセス権が正しいか(Finderで右クリック→「情報を見る」→「共有とアクセス権」を確認)
アドオン(拡張機能)が動作しない
一部のアドオンはMac版・Windows版で互換性がない場合があります。また、バージョンアップにより動作しなくなったアドオンもあります。「メニュー→アドオンとテーマ」を開き、非互換のアドオンを確認して最新版への更新または代替品への変更を検討してください。
日本語メールが文字化けする
Windows→Mac移行後に起こりやすい問題です。「設定→一般→言語と表示→読み取り」を開き、「デフォルトの文字エンコーディング」を「Unicode (UTF-8)」に変更してください。個別のメールが文字化けしている場合は、そのメールを開いた状態で「表示→文字エンコーディング」から「日本語 (Shift_JIS)」を選択することで改善する場合があります。
移行後にやっておきたいMac向け最適化設定
通知とDock連携の設定
macOSの通知センターとThunderbirdを連携させることで、デスクトップ通知で新着メールを受け取れます。「設定→一般→新着メール通知」で「システム通知を使用する」を有効にしてください。
またDockアイコンに未読数を表示するには、「設定→一般→システム統合」で設定できます。
定期メンテナンスの推奨
移行後も快適に使い続けるために、月に1回程度のメンテナンスをお勧めします。
- メールボックスの圧縮:削除したメールが実際にはファイルから消えていない場合があります。各フォルダを右クリック→「フォルダを圧縮」で整理できます。
- バックアップの習慣化:「ツール→エクスポート」で定期的にZIPバックアップを取っておくと安心です。
移行パターン別クイックリファレンス
よく使われる移行パターンをまとめました。
Mac→Mac(同じThunderbirdバージョン・115以上)
→ 公式エクスポート/インポート機能(方法①)を使うのが最も簡単です。2GB以下であれば10〜20分で完了します。
Mac→Mac(旧バージョンまたは2GB超)
→ 手動プロファイルコピー(方法②)を使います。ただしprofiles.iniの書き換えを忘れないようにしてください。
Windows→Mac
→ 2GB以下であれば方法①を推奨します。ZIPエクスポートはOS間の差異を吸収してくれるため、手動コピーより安全です。2GB超の場合は方法②を使いますが、フォルダ名の-release問題に注意してください。
新MacにTime Machineで移行済み → Thunderbirdだけうまく引き継がれなかった
→ Time Machineの復元後にThunderbirdが正常に動作しないケースがあります。その場合はTime Machineバックアップ内の~/Library/Thunderbird/フォルダを直接コピーして上書きする方法が有効です。
▼ブラウザ(Firefox)の移行も同時に進めたい方はこちら:
よくある質問
Q. 移行にどのくらい時間がかかりますか?
A. 公式エクスポート/インポート機能を使う場合、1GB以下のメールデータなら概ね15〜30分程度です。ただしデータ量によって大きく変わるため、時間に余裕があるときに作業することをお勧めします。
Q. 複数のメールアカウントがある場合、まとめて移行できますか?
A. はい。プロファイルフォルダにはすべてのアカウントのデータが含まれているため、方法①・②いずれでも一括で移行できます。移行後は各アカウントの動作を個別に確認してください。
Q. 移行元のデータはいつ削除すればいいですか?
A. 移行先で少なくとも1週間は正常に使えることを確認してから削除することをお勧めします。移行直後に元データを削除してしまうと、問題が発生したときに対処できなくなります。
Q. GmailやYahooメールでも同じ手順で移行できますか?
A. はい。GmailやYahooメールなどのIMAPアカウントはサーバー側にメールが保存されているため、移行後に再度ログイン・認証するだけで同期されます。ただし移行前にThunderbirdにローカル保存している場合は、プロファイルごと移行する本記事の手順が必要です。
Q. AirDropでZIPファイルが送れない場合はどうすれば?
A. AirDropが使えない場合はUSBメモリ、iCloud Drive、GoogleドライブなどのクラウドストレージをいったんZIPファイルの中継場所として使うと便利です。クラウドにアップロード後、新しいMacからダウンロードしてインポートしてください。
▼スマホのデータ移行に不安がある方はこちらも参考にどうぞ:
まとめ
Thunderbirdのデータ移行は、手順さえ正しければ確実にできます。この記事の要点をまとめます。
- 2026年版の推奨手順は公式エクスポート/インポート機能(ZIPファイル)。プロファイルフォルダの場所を探す必要がなく、失敗リスクが低い
- プロファイルが2GBを超える場合や旧バージョンでは手動コピーを使う
- Windows→Mac移行ではフォルダ名末尾の
.default-release問題に注意が必要 - 移行後のパスワード再入力は想定内。特にGmailはOAuth再認証で対応できる
- 移行完了後も「ツール→エクスポート」で定期バックアップを習慣にしておくと安心
新しいMacで今まで通りThunderbirdが使えるようになれば、メール環境をゼロから作り直す手間がなくなります。ぜひこの記事の手順を参考に、スムーズな移行を実現してください。